「いろはにほへと」・・・・いろは唄を田風景に重ねて団扇 風鈴 夕涼み・・・
身体をひんやりと冷ましてくれるものよりも、
心に涼やかさを運んでくれるもの。
四季には、折々ならではの風物詩がありますね。
幼少に手を連れられ登った山、恋人と通った川辺、家族で泳いだ海、
そしてまた一人でそれらを抱く峰々をふらり眺めたくなる・・。
この世のあらゆるものは生命の連続の中に生かされています。
誰も皆、過程の中に生きていて、誰もが皆、過程の中のひとりであるかとも思います。
平安時代末期に流行した『いろは唄』。
それは、『涅槃経(ねはんきょう)』の四句の偈(げ)、
「諸行無常(しょぎょうむじょう) 是生滅法(ぜしょうめっぽう)
生滅滅己(しょうめつめつい) 寂滅為楽(じゃくめついらく)」の意を表すそうです。
掲載作品は、田風景にいろは唄を重ねて書いてみました。
気ままにそよぐ雲「い」、軒のある平屋「ロ」「ハ」、水路に掛かる小さな橋「ニ」、
まっすぐなる木立「ホ」、大地の主である山「へ」、そこに住む大らかな人「と」。
今年の夏には、今年からの景色をもうひとつ・・・
その一枚の景色がこれからの毎日を少し変えてくれるかもしれません。
暑中お見舞い申し上げます。
*掲載作品は宇佐美志都公式HPにも掲載の「いろはにほへと」
*連載のバックナンバー「四季彩時記」
http://www.origin-land-of-identity.com/書家・ 宇佐美志都gallery