建国記念日の午後、私は事務所に一人で居た。
電話が鳴ったので出ると・・・
「私、この歳までかかりました・・・この淡口醤油に出逢えるまで」一生に一度でも、その様な事、云っていただけたら
生きてきた総てが報われると思う・・・
(結論から云うと、その言葉を言われるということに関して
「うす霧」に私は負けたのだが・・・それはさておき!)。
泪の出そうなそのお言葉に私はただただ「そう云って頂けると・・・」と。
私は、学生時分、台所に立っていたとき、ふと思った。
この醤油があるから、私、こんなに料理できるけれど、無かったら
そして、これを世の主婦達は手にできるのか?いや出来ない・・・
理由は主婦達に売ってないのだから。そこに原点があった。
いくらいい物でも(いい者でも)、その人に知られていなかたったら、
それはその人にとって直接的に存在しないもの・・・
そこを越えたかった。それをまず明快に解決したかった。
「大手メーカーさん以外のものは、意外と手に入りにくい・・・のよね。
ずっとそれが私イヤで困ってたんです。
お友達にもプレゼントしたいの。私がそうだったように・・」とも。
私達の業界は、その発信を少し怠ってきたという歴史がある。
今、それを私どうにかしようと奮闘している。私の胸のうちで
醸造業界や日本の食の業界が、様変わりすることはありえないと思う。
でも、私の私達のこの想いで、ひとりの主婦が、日々の生活に
慶びやちょっとした潤いを感じて頂けることは可能だ。それでいいのだ・・・
元来、食というものは、生きる根底にある、
もっともっと日常化したものだからだ。
大きな動きでなくともいい、大きさではない、
一人に届けたい、一人と対話したい・・
それこそが、原点であり終着点なのだと今日改めて思った。おおよそ65歳の過ぎたそのご婦人の言葉がじんときた・・・・
その歳になっても新しい巡り逢いを求めているのだということ。
人生は、そして青春は、どうやら永いようだ・・・・・。
お醤油のご用命は「宇佐美本店」までお気軽に宇佐美本店 四代目 宇佐美志都